【能作 のうさく】工場見学や鋳物体験にカフェにも行ってきた
鋳物の製造現場から失礼します、ライターのサンソンです。
突然ですがみなさんは、日本全国のお寺の鐘や銅像、仏像の95%が富山県高岡市で作られていることを知っていますか?
高岡市に400年前から伝わる高岡銅器は、江戸時代にまでさかのぼります。
加賀藩主の前田利長が高岡に城を築いてから、現在の高岡市金屋町に7人の鋳物師(いもじ)を招き、鋳物産業を発展させました。これが「高岡銅器」の歴史の始まりです。
そして今回は、そんな高岡銅器で101年の伝統を持つ企業「能作 のうさく」について紹介したいと思います。
画像引用 「能作」より
株式会社能作は大正5年(1916)、高岡市に400年伝わる鋳造技術を用いて仏具製造をしてきました。
鋳造とは、溶かした金属を型に流し込み、冷やして目的の形状にする製造方法をいいます。
創業当時は仏具、茶道具、花器を中心に、くわえて近年はテーブルウェアやインテリア雑貨、照明器具や建築金物なども手掛けています。
2017年には、伝統の技法で錫の鋳物制作体験が出来る体験工房や、実際に能作の食器を使ってご飲食が出来るカフェを併設した施設もできました。
販売スペースもあるので、ここでしか手に入らない限定品を購入することも出来ますよ。
2017年4月に産業観光をコンセプトにオープンした能作の新社屋は高岡市オフィスパークにあります。
住所
富山県高岡市オフィスパーク8-1
電車の場合
新高岡駅から加越能バス(高岡法科大学線)で23分、高岡オフィスパーク下車、徒歩3分
車の場合
高岡砺波スマートICから車で3分
あいの風とやま鉄道線高岡駅から車で20分
能作には各種ワークショップやカフェなどもあるので、それぞれ営業時間が異なります。
見学時間割
9:30〜/11:00〜/13:00〜/14:30〜/16:00〜
体験時間割
ぐい呑、小鉢、トレー、箸置き2個セット、昆虫チャーム3点セット
10:00〜/13:00〜/15:30〜
ペーパーウェイト
10:00〜/11:30〜/13:00〜/14:30〜/16:00〜
(見学・体験に関して上記以外のお時間をご希望の場合はお問い合わせください。)
カフェ・ショップ
10:00〜18:00(カフェラストオーダーは17:30)
休業日
年末年始、見学:土曜日・日曜日・祝日、年末年始
※土曜日は月により休業日に変更あり、体験:年末年始
ということで、高岡オフィスパークにやってきました。
能作は高岡オフィスパーク内にあり、鋳物の歴史や能作製品を使ったカフェ、工場見学もできます。
常に新しいことに挑戦している能作は、ミラノに出店したことなども話題で、富山県民ならほとんどの人が知っているんじゃないでしょうか。
さっそく館内へ入ってみましょう。
まず建物の中に入って驚くのが、デザイン性の高さと広さです。
こちらのTOYAMA DOORSという空間には、富山県の形をかたどった全長3mのテーブルがあります。
そこをスクリーンにしたプロジェクションマッピングでは、富山県のおすすめの観光スポットやお祭り、食べ物など投影しています。
富山県をかたどったプロジェクションマッピングのテーブルでは、能作の紹介だったり、富山の名産を紹介しています。最先端って感じがするぅ!
そして一番目を引くのが、壁一面に並べられたこちらです。
これは、砂型を作る時に使用する木型で、約2500型展示されています。
現在も使用しているため、時々職人さんが取りに来る姿も見られるという現役バリバリの型だ。
こちらは能作新社屋の、おすすめ写真撮影スポットとなっています。
こんなに並ぶと、もはや芸術作品ですな。
いろいろな形があるので、見ていて楽しいし、フォトジェニックな気がします。ロッククライミングもできそう。
ここからは、予約制の工場見学の紹介です。
工場見学は事前予約制で、予約はこちらのホームページよりお申し込みできます。
所要時間は約60分で、人数は1名~60名、料金は無料となっています。
こんなにキレイな場所に工場があるなんて!どうなっているのか、見てみましょう。
見学用の通路を通りやってきたのは鋳物場。
思ったよりもガチガチの工場でした。
工場内は一部空調のない場所があります。夏場は工場内の温度が高くなっていますので、必要な場合はタオルを持ってきてください。また冬場は温度が低くなっていますので、温かい服装で来てください。
実際に作業を見ることもできます。
こちらは型に砂を入れて成形しているところで、こんなに間近で見ることができるとは。
ガラス越しに遠くから見る工場見学のイメージがあったので感激です。職人さんの真剣な眼差しや息づかいまで伝わってきますね。
お次は、仕上げ場の見学です。
仕上げをする前と後の輝きが全然違いますね。
職人さんの手でキレイに加工されていく様子を目の前で見ることができます。
能作の職人さんを見ていると、あることに気が付きます。
そう、若い方が多いのです。
現在の職人さんの数は50人。平均年齢はなんと33歳なんだとか!
能作で働きたい!と思い全国から集まった若い職人さんが技術を磨き、新しい感性で能作の商品をこの世に生み出す。素晴らしい!
職人さんの中には小学生の時に能作の工場見学に来て、そこから鋳物職人になりたいと夢見て実際に能作の職人となった女性もいらっしゃるそうです。
日本の各地で伝統工芸の継承が危ぶまれているなか、高岡市の能作は職人さんが増えているのですね。
工場見学は事前予約制なので、必ず予約してから行ってみてください。
続いてやってきたのは能作のFACTORY SHOPです。
能作の職人が作った商品を、見て触れて、購入することができ、ここだけのオリジナル作品も購入することができるのです。
能作といったら思い浮かべるのは、やはり「錫 すず」ですよね。
金属の中でも柔らかい部類に属し、熱伝導性に優れている錫は、食器やアクセサリーだけでなく、抗菌性の高さから医療器具としても注目を浴びています。
実は、能作で錫製品を作り始めたのは、今から13年前だそうです。意外と最近!
真鍮で仏具や茶器や華器を作るのが主流でしたが、もっと生活に身近なものを…と開発されたのが能作の錫製品の始まりだそうです。
こちらが、能作の錫製品の皮切りとなった「Tincry」です。
日本語訳は「すず泣き」。錫のお皿は自由自在に曲がるのが特徴ですが、曲げた際に鳴る音から付けられた名前だそう。名前も形も可愛い。
他にも風鈴だったり、一輪挿しだったりといろいろな錫や真鍮製品が並んでいます。
中には立山をモチーフにしたぐい呑みも!!!能作が演出する富山らしさ、粋ですね。
実際にどのような商品があるのかはこちらのホームページに記載されていますので、参考にしてみてください。
こちらのIMONO KITCHENは能作に併設されたカフェとなっています。
ここの特徴としては、能作で作られた錫の器で料理が出てくることなんです!
セルフサービスのお水も錫のコップを使用できる贅沢の極み。
ちなみにどのようなメニューがあるかはこちらのホームページをご確認ください。
私が注文したのは「のベーグル食べ放題セット」
焼きたてベーグルが入った器は、自由自在に形を変えて楽しむことができる能作の商品「KAGO」です。これ使ってみたかった!
15種類以上の採れたて野菜サラダは、2種類のドレッシングが錫の器に入っています。全部欲しくなってしまう!!物欲スイッチを連打された感じ。
「の」ベーグルの「の」は、能作の「の」です。能作を噛み締めます。
ベーグルの他にも、カレーや富山らしい大門素麺、とろろ昆布おにぎりもあり、観光客の方も楽しめると思います。
「FACTORY SHOP」と「IMONO KITCHEN」は、予約なしで利用できます。
高岡の伝統的工芸品に触れながら、お食事を楽しむのはいかがでしょう?
最後は「NOUSAKU LAB」です。
ここでは砂を使った成型鋳造で、錫の製作体験ができるコーナーです。(工場見学とともに、こちらも要予約。)
能作の職人さんたちが毎日行っている造型・鋳造を、錫の物作りで体感できます。
私が見学させてもらった時は、夏休みということもあり体験に来ている小学生が沢山いました。
生型鋳造法と呼ばれる鋳型用の砂を押し固めて成型する方法で型作りをし、お子様から大人の方まで楽しんで頂ける内容がそろっています。
世界に一つだけのオリジナルの品を思い出と共に持ち帰ることができます。
私も次回は、錫のぐい呑作りにチャレンジしたい!!!
お子さんから大人まで幅広い世代の人に、そして県外の人だけでなく、富山県民にも楽しんでもらえる施設だと思います。
体験料金なども公式ホームページに記載されていますので、気になる方はそちらをご確認してみてください。
ということで素晴らしい伝統工芸の会社が、富山県高岡市にあるということは富山県民にとって大変誇らしいことだと強く感じました。
日本に、いや世界に誇れる会社が高岡にはあるんです!
工場と地域の魅力を伝える観光施設をひとつにまとめ、伝統技法と職人の志を五感で楽しむ場所、「能作」に、みなさんも足を運んでみてください。
ADDRESS | 富山県高岡市オフィスパーク8-1 |
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ホームページ | 能作 |
OPEN |
10:00-18:00 工場見学9:30-17:00 鋳物製作体験10:00-17:00 |
Parking | あり(普通車22台 大型2台) |