富山県の漫画家ってどうやって稼いでるの?プロに話を聞いてみた
どうも、編集長のサクラです。
日々生まれては埋もれていくネット記事、その中でこの記事に辿り着いたみなさんは、相当なマンガ好きと見受けられます。
「マンガ?バカバカしい。男はコレ(こぶし)だろ?」という硬派な方もいるかもしれませんが、これも何かのご縁。
ぜひともわたしがマンガについて疑問を思っていることを共感していただけると幸いです。
それでわたしが富山県で感じている疑問と言うのがこちら。
そう、富山のマンガ家はどうしてるの?ということです。
というのも、マンガ家と言えば東京といった都会に拠点を置いて、自分の書いた作品を出版社に持っていって連載作品にまで辿り着く。
まぁこれも『バクマン。』というマンガから得た知識なのですが、富山県という地方でも職業として成り立つのか?
今回は富山でマンガを書いて生きているプロの方にお話を伺ってきました。
今回取材させていただいたのは、富山県内でマンガの連載や講師、個展などもやっているAOISISさんです。
富山市出身で、富山クリエイティブ専門学校デザイン学科(旧 富山建築・デザイン専門学校)を卒業し、そのまま富山でマンガ家をしています。
あまり表に出てこない職業のイメージですが、テレビやラジオにも積極的に出演しており、富山県のマンガ家といえばこの人ですね。
ということで、こちらがAOISISさんです。
実は今回、自宅兼事務所にお邪魔させていただいたのですが、仕事の合間だったからか目つきが完全にアレしてます。ちなみにアレとは『イカレてる』のことです。
もしかしたら朝食はレッドブルとモンスターエンジンという、アンドロイドみたいな生活をしているのかもしれません。
サクラ
「本日はよろしくお願いします。お忙しい中会ってくださりありがとうございます!」
AOISISさん
「よろしくおねがいします。今回の記事で富山県内にマンガを書く人が増えれば嬉しいです。」
サクラ
「まずは数ある職業の中で、なぜマンガ家になろうと思ったのですか?」
AOISISさん
「元々、自己表現が好きで絵を描いていたのもあって、富山市の高校もデザインサブコースを受講していました。卒業した後もストレス発散のためにバイトをしながら絵を描いていました。そんなときに連載の話が決まり、ようやくバイトをしなくても生きていけるようになりましたね。」
サクラ
「絵といってもいろいろあると思いますが、やっぱりマンガを読むのが好きでマンガ家になったんですか?」
AOISISさん
「いえ、そんなにマンガを読むのは好きではありません笑。描くのが好きであって、実際にマンガだけでなくアート、イラスト、デザインと何でも描きます。ライブイベントや講師もやっているので、マンガしか描かないというわけではないんです。」
ずっと気になっていましたが、後ろの方にアート作品がありました。
富山県内のイベントなどで、こんな感じでライブペイントパフォーマンスとして描かれるそうです。
サクラ
「今の話を聞いていると、収益はマンガだけではないということですね。マンガ家というと東京とかでしか成り立たない職業かと思っていました。」
AOISISさん
「昔と違って、インターネットで東京からイラストやマンガの依頼があったりするので、特別に東京に行かないと仕事ができないというわけではありません。」
サクラ
「確かに。わたしのマンガ家の知識はトキワ荘くらいで止まっていました。」
AOISISさん
「またマンガといっても連載だけが仕事ではなく、アシスタント依頼や講師など様々なお金の稼ぎ方があります。アシスタント依頼はインターネット上で完結するので、1コマ○○円といった相場もあり富山でも問題なく仕事に繋げられます。」
サクラ
「とは言っても、やはり絵で生きていくのは大変な苦労があると思います。さっきからカフェインをエネルギーに仕事してるみたいな顔してますし…。」
AOISISさん
「えっ、なんか言いましたか?」
(ヤバい、聞いたらアカンやつや。)
サクラ
「あっ、いえいえ。でもそれなりの苦労があると思うのですが何が大変ですか?」
AOISISさん
「やっぱり1人ですべてしないといけないことが大変ですね。例えばマンガを書くにしても、ネームやストーリー、絵を描くのなんか全部自分だけでやらないといけません。営業や経理関係も1人ですから、はっきり言って絵だけ描いていて生きてはいけません。」
サクラ
「それは会社員以外の方ならだいたい当てはまりますね。個人事業主も自分1人ですべてしないといけないですから。」
AOISISさん
「あとは自分の描きたい絵が世の中のニーズに合っているかもわからないですし、お金を稼ぐためならクライアントや時代のニーズに合わせたタッチにしないといけません。これもよく言っているのですが、自分が食わず嫌いで苦手視していた仕事ほど成長できるんですよね。なぜなら自分の不得意分野の絵を描くことで、新しい発見があるからです。」
サクラ
「お客さんの求めるものを提供する。AOISISさんの仕事論も少しわかりました。」
せっかくなので、作業風景も見せてもらいました。
トキワ荘時代には紙に絵を直接描いていたと思うのですが、もう今はパソコンで簡単に修正したりできるようになっています。
色も自由自在に選ぶことができて、まさにインターネットでマンガも完結する時代です。
サクラ
「ちなみにどういった作品を生み出しているとかって見せていただけますか?」
AOISISさん
「わたしのホームページに描いた作品は載せるようにしているので、時間があったら見ていただけると嬉しいです。」
いろいろ見せてももらいましたが、世界観や絵のタッチがまるで違う作品たちでした。
さすがプロは何でも書けてしまうんだなぁ。
このような小道具なども見ることができ、マンガを描くということの奥深さを感じます。
AOISISさん
「こんな感じで、過去に描いたモノの色や形などの数値をメモしておいたり、他の人が描いた作品を参考にしたりしながら絵を描いています。」
サクラ
「なんの数字か素人には全くわかりませんが、マンガ家もすごい技術が必要なんですね。」
サクラ
「最後に今後の活動について教えてください。おそらくそこに富山県で活動する理由もあると思います。」
AOISISさん
「わたしが富山でマンガを描く理由は、やっぱり富山が大好きなんですよね。歴史も自然もあって、もっと富山の魅力を内側からいいなと思わせたくて。そんな富山で作品表現をしたいという方々が地元で活動しやすくなるような地盤づくりをしたいと思っています。」
サクラ
「そのために、富山県内で絵を描く講師をしているんですね。」
AOISISさん
「というのも多くのデザイン関係の仕事は、富山から東京に外注しているという企業が多いと思います。しかしそれではお金が東京に流出してしまうので、富山県内にもたくさんすごい人がいるんだぞ!と思わせたいです。」
サクラ
「結局お金を富山県でまわさないと富山の経済が潤いませんからね。まさかAOISISさんは経済のことも考えているとは。」
AOISISさん
「割とお金を回すのが好きで、とにかくお金を使って経済の役に立ちたく、銀行から自動的に寄付金が引き落とされるようにしています。」
(お金を寄付しているだと!?)
サクラ
「その寄付金、なんとかわたしの銀行口座に振り込まれるようにできないですかね?」
AOISISさん
「それはできないです。」
ちなみにこちらがAOISISさんが開催している『まんが自習室』という作業講座で、初心者から趣味の方、プロを目指す人まで幅広い方が参加しています。
文苑堂書店で毎月イベントが開催されているようなので、ぜひ興味がある人は行ってみてください。
【まんが自習室】
サクラ
「富山県は藤子不二雄の出身地でもあるので、ここから新たなマンガ家が生まれると思うとワクワクしますね。また若い人が楽しめる場にもなりそうです。」
AOISISさん
「そうですね。マンガだけではなく若い人に富山の良さを伝えるための活動もしたいと思っています。」
ということで、今回は富山県のマンガ家であるAOISISさんに話を伺うことができました。
ただ好きな絵を描くだけでなく、クライアントのニーズに合わせた絵や自ら技術を売り込むなど、マンガで生きていくための努力が伺えました。
AOISISさんのHPやツイッターを見れば、連載作品や活動風景もわかりますので、ぜひ見てみてください。
【AOISISのHP】
【まんが自習室】
・AOISIS名義(プロデュース・広報・エンタメ・支援系)
・蒼井怜也名義(アート・漫画・イラスト系)※R18