ホタルイカの生食に気をつけろ!寄生虫(旋尾線虫)には冷凍か加熱処理せよ
可愛いホタルイカの写真から失礼します。編集長のサクラです。
突然ですがみなさんは、ホタルイカを食べたことがありますか?
普段スーパーで売られているものであれば問題がないかと思いますが、採ってすぐのモノには寄生虫がいる可能性があります。
実は2000年に、東京都内のスーパーで販売された富山県産の生食用のホタルイカに寄生虫の幼虫が検出され、大きく問題となりました。
そこで今回は、ホタルイカに寄生している旋尾線虫、食べたときの症状、そしてどのようにすれば予防できるかなどを紹介していきます。
ホタルイカは、全身が青白く光る、多くの謎につつまれた神秘的な生き物です。
春になると産卵のため富山湾の岸近くまで集まってきますが、漁で見られる群れをなしたホタルイカが海面に放つ光は、宝石のように美しいものです。
また、身投げはホタルイカ群遊海面として国の特別天然記念物にも指定されているほど。
一方でホタルイカといえば春を彩る美味のひとつであり、鮮度が落ちやすいとあって、採れたてをすぐに食べるのが通と言われています。
画像引用 「国立感染症研究所」より
ホタルイカに寄生している旋尾線虫は、多くの種類があり、ホタルイカから検出されるものはタイプⅩ(テン)と呼ばれています。
幼虫タイプⅩ(テン)は、体長約10mm×体幅約0.1mmの糸くずのような細長い虫です。
この虫が中間宿主であるホタルイカやタラなどの内臓に寄生しています。
ホタルイカでの寄生率は2~7%といわれており、生食によって感染することが2001年に明らかとなりました。
ホタルイカなどの中間宿主にいる幼虫を食べると、約1~3日のうちに腹部皮膚にミミズばれができる「皮膚爬行(はこう)症」や嘔吐、腹痛を訴え、最悪の場合には「腸閉塞」を起こすこともあります。
「腸閉塞」は入院し数日の絶食で軽快することが多いのですが、重症の場合には手術が必要となります。
またこの幼虫は、腸管壁への侵入移行のみならず、腹、背、腰部の皮膚組織内への移行を引き起こす点で軽視できない危険な寄生虫であると考えられています。
寄生した後に人間の体中を動き回るなんて、恐ろし過ぎます。
ではどのようにすれば寄生虫からの感染を防ぐことができるのか。
ポイントとしては、市販の加工されたものや冷凍されたホタルイカは安心して食べて大丈夫です。
もうこの時代ですと、普通に寄生虫対策はされているので買って食べて感染することはほぼないでしょう。
しかし、自分でホタルイカを採りに行って食べる場合には注意が必要です。
では、自分で採ってきたホタルイカをどのようにすれば食べることができるのでしょうか。
この旋尾線虫の幼虫は、ホタルイカの内臓(胃・腸)の中にしかいません。
したがって、完全に内臓を取り除くことにより、この寄生虫に感染する危険性をほとんどなくすることが可能です。
また、この寄生虫は高温には弱いため、沸騰水に投入し30秒以上、中心温度60度以上で処理すれば安全です。
したがって釜ゆでなどの加工品は安心です。
さらに、-30℃の低温で4日間以上、-35℃では15時間以上、-40℃で40分以上凍結処理されたホタルイカはそのまま食べても安全です。
イカやサバなどでよく見られるアニサキスという寄生虫は、旋尾線虫と同様に一般的な塩や酢による調理では死滅しませんが、この寄生虫も凍結処理により死滅します。
ということで、とにかく冷凍するか高温で茹でれば寄生虫は死ぬということですね。
ということで、ホタルイカの生食の危険性について紹介しました。
春になってくるとホタルイカの身投げで富山湾では多くの人たちで賑わっています。
しかし、それを生で食べて寄生虫にでも当たってしまっては元も子もありません。
初めて処理する人は、とにかく冷凍するか加熱処理して、生の刺身などは控えるようにしましょう。
ちなみにホタルイカの身投げを見に行ってきた記事もありますので、こちらも参考にしてみてください。