おせんは何も悪いことしてないのに「赤い椀」
富山県の民話を伝えるコーナー第十七話。
民話と言えば、一体、何を教訓にすれば良いのかわからない話も多い。
だけど、ぼくが責任を持って感想を書くぞ!
本日は、富山県朝日町を舞台にした民話「赤い椀」です。
昔、富山の朝日町に「おせん」という、7歳のみなしごの娘がいました。
おせんは歌が好きな娘で、おせんが透き通った声で歌えば、村人たちは仕事の手を休めて聞き惚れました。
おせんは、よその家の子守をしてその日その日をつないで暮らしていました。
幼いおせんのたった一つの願いは、赤いお椀に真っ白なご飯をよそってお腹いっぱい食べる事でした。
親もない子守娘のおせんには、とうてい叶うはずのない夢でした。
ある日、おせんは子守の手伝いをしている家の婆さまと一緒に、山へ山菜摘みに出かけました。
その途中、草むらに赤いお椀が一つ置いてあるのを見つけました。
おせんは、そのお椀が欲しくて欲しくてたまりませんでしたが、婆さまから「山で得体のしれないものを拾ってはいけない」とたしなめられて、グッと我慢しました。
山で山菜を摘んでの帰り道、やっぱり元の場所に赤いお椀が置いてありました。
おせんは諦めきれず、赤いお椀を拾い上げました。
すると、何とも怪しい風が吹き、風の中から不思議な声が聞こえてきました。
おせんは風の声に導かれるように、谷に向かって駆け出しました。
谷に到着したおせんが、いつもはない丸木橋を渡り始めると、橋はぐらりと揺らぎみるみる大蛇に姿を変えました。
大蛇は、優しくおせんを咥えて、静かに谷の淵の底へと沈んでいきました。
婆さまが淵に向かっておせんの名を呼びましたが、おせんは二度と浮かび上がってくることはありませんでした。
おせんの落ちたこの淵を「おせん落としの谷」と呼ばれるそうです。
なにこの可哀想な話。
欲を出してはいけませんという教訓でしょうか?
まぁ当時としては、銀シャリが高級品だったのかもしれませんが、夢見たっていいじゃない!
赤いお椀が落ちてたら、拾ってもいいじゃない!
つまり、この話はこういいたいのです。
夢見たっていいじゃない
おせん落としの谷って誰がネーミングしたんだよ。