富山弁の「なん」を徹底解説!使用例と取扱説明書
どうも、編集長のサクラです。
突然ですがみなさんは富山弁「なん・なーん」をご存知ですか?
何を隠そう富山で最もポピュラーな富山弁であり、お年寄りから若い人まで幅広い年齢層で使用されています。
しかしみなさんはどれほど「なん・なーん」を使いこなせているでしょうか?
ということで今回は県外の人も、そして富山県民の人にもわかるように、この富山弁をあらゆる角度で徹底的に調べてみました。
これでみなさんも「なんマスター」です。
「なん・なーん」について
まずは「なん」の意味を解説していきます。
こちらの基本的に否定の意味を表します。
また「なん・なーん・なんなんなんなん」でそれぞれニュアンスが異なってきます。
なん | 早いリアクションが必要なときに使用します。また会議やプレゼンなどの緊迫とした状況でもつい口に出してしまいます。 |
---|---|
なーん | 友人たちとの緩い会話で使うことが多いです。一回だけ使う場合も基本的には否定的要素が強いのですが、否定も肯定もせず、ちょっとあいまいな感じにしたいときにも使われます。 |
なんなんなんなん | 否定形の意味ですが、「なん」を何度も重ね早く言うことで超否定形の意味になります。「なん」の数で否定する気持ちのレベルがわかります。 |
なん
富山県民①
「この企画書ってこれで合ってるん?」
富山県民②
「なん、このクライアントには生産データも載せないと。」
なーん
富山県民①
「明日ってなんか予定ある?」
富山県民②
「なーん、なんで?」
なんなんなんなん
富山県民①
「あんなデカい家建てるなんて、めっちゃ金持ちやん!」
富山県民②
「なんなんなんなんなん、ローン地獄やちゃ。」
こちらの「なん」は日本語の「どうも」と同じくらいいろんな場面で使用できます。
「なん」を使えば、「いいえ、〇〇です。」の〇〇が省略できます。
言ってしまえば、「YES」と言えば「YES (高須クリニック)」の高須クリニックが省略できるようなもんです。
わかりやすいようにいくつか例を用意しました。
学生生活
富山県民①
「昨日のケンミンショー富山出てたけど見た?」
富山県民②
「なーん。(見ていない。)」
会社
富山県民①
「今日の仕事終わった?」
富山県民②
「なーん(終わってない。)、朝から忙して進まんが。」
家庭
富山県民①
「今日はどっか出かけない?」
富山県民②
「なーん。(出かけない。)」
県内外ではフランス語の「ノン」と同じ感じだと言われています。
・・・そんなバカな。
富山県がまさかそんなオシャレな国と似ているとは考えられません。
そこで、各国の否定の言葉を集めて、どの言語が一番「なん」に近いのか調べてみました。
英語 | no | ノー |
---|---|---|
フランス語 | non | ノン |
ドイツ語 | Nein | ナイン |
オランダ語 | Nee | ネー |
デンマーク語 | Nej | ナイ |
フィンランド語 | Ei | エイ |
トルコ語 | hayır | ハユル |
アラビア語 | là | ラー |
ヘブライ語 | به | ナー |
スワヒリ語 | hapana | ハバナ |
ハワイ語 | ‘a’ole | アオレ |
中国語 | 没有 | メイヨウ |
韓国語 | 아니 | アニー |
日本語 | いいえ | イイエ |
確かにフランス語が一番似ていた。
それどころか日本語に全然似ていないことに衝撃です。
「なーん」の語源ですが、「何にも」が転訛したものだと言われています。
富山県民が得意とする「富山ちゃ、なーんもないちゃ」の「何にも」から来てるんですね!
しかし「何にも」と違い、多くの意味合いを含んでいます。
例えば「風邪、なーん治らん」と言った場合の「なーん」は、「ちっとも」と訳すことができます。
文法の用語でいえば、否定の副詞に当たり、主に事物の数量・程度が期待や予測より著しく劣るときに使われます。
次に「朝から、なん、忙して進まんが」という答え方もでき、この「なん」は「もう」「まあ」のようにはっきりした意味のない言葉です。
「なーん」は否定の意味を持っているので、相手の予想や期待がある場面でそれを打ち消したい場合、「なん」を挟んむようです。
さらに、共通語の「いやぁ」「まぁ」のように、否定と離れた用法が使われる場合もあります。
問いとして明確に聞かれているわけではないが、前提となっていることに対して期待から外れている意味合いを添える効果があるのではないかと考えられます。
ここまで「なん・なーん」について解説してきましたが、非常に便利な方言です。
あまりに汎用性が高いので、もしかしたらどんな質問でも「なーん」と答えれば会話が成り立つのではないか?
そう思って実際に検証してみましたので、上記の動画をご確認ください。
結論
「なーん」しか言わないと会話が成り立たない上、3回目くらい連続で使用するとキレられる。
ということで、今回は富山弁で最も人気のある方言「なん」について紹介しました。
これだけ便利な単語なのですが、県外の人に通じないのはもったいない!
ぜひみんなで「なん」を普及させて、標準語にさせましょう。(なーん、そんなんせんでいいが)