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『消えてたまるか!朝日町』日本の最先端はここにある

公開日
更新日
執筆者
SAKURA

どうも、編集長のサクラです。


趣味でわたしは本をそこそこ読むのですが、富山関連の面白そうな本があったので今回はレビューしたいと思う。

それが富山県の最東である朝日町を取り上げた『消えてたまるか!朝日町』

これ書いた人はいい仕事していますね、ネーミングからしてインパクトありますね。


そして、さらに印象的だったのが「消滅可能性都市」という文字。

これは2040年時点で人口が1万人を割る自治体を指しており、県内では朝日町だけが該当している。

高齢化率も42.2%と、ほとんどが高齢者だということがわかる。

そんな朝日町がどのような取り組みを行なっているのか…いくつか本文を抜粋して気になったところの感想を書いていこうと思います。




1. 朝日町の現状

町の人口は、5年前に比べて10%も減っていた。資料には減少率のランキング表も載っていて、県内全15市町村で最も悪い数字だった。
だが町長に気落ちした様子はない。笑って「朝日町は今が”買い”ですよ」と言う。

みなさんはどのくらい朝日町のことを知っているだろうか?

総面積の85%を森林が覆っており、地図で見るよりも人が住んでいるところは少なく思い浮かべる名産品は、ヒスイ、たら汁、ばたばた茶くらいかな。

富山県民としても、なにか遊びに行くのにここを訪れる人はそんな多くない。わたし自身もこのようなサイトを運営しているが足はなかなか進まなかった。それはわたしが若者であるからかもしれないし、それをデータ付けるかのように朝日町の高齢化率は42.2%というほとんどが高齢者。

しかし以前、魔法をかける編集という書籍で地方を編集する際の面白い言葉を見つけた。

高齢化社会の町が日本の最先端だということ。

そもそも日本はどう頑張ったって少子高齢化の波は止めることができないし全ての都道府県が高齢化社会となる。つまり日本の最先端は東京ではなく、朝日町のような地方なのではないだろうか。

高齢者が楽しめる町、それでいて自治体が維持できて、それを支える若者もいるシステムが全国の自治体の見本となる、そんな最先端な取り組みに注目したい。




2. 役場にないスピード

池田さんが企画書を作ってからオープンするまでの期間はわずか四ヶ月だった。笹原靖直町長は「行政なら来年度になっていた」と言い、ある職員は「再来年度だったかも」と話す。優秀な担任は、役場に取って大きなプラスαになると確信した。

地域おこし協力隊は2009年度に始まった総務省の取り組みで、人口減少や高齢化が進む地方に、都市部などの人材を誘致して定住や定着を図り、地域力の維持や強化を目指すもの。

地域おこし協力隊の1人である池田さんは以前に全く関係のない職についており、役場にはない武器をたくさん持っている。スピード感もその1つ。

また、都会に住んでいたということも大きな力だと考えられる。わたし自身も富山出身ではなく都会からやってきたのだが富山県の娯楽情報の少なさに驚いた。ここの発想がずっと富山県に住んでいる人とは違い、わたしの場合は『娯楽情報がネットにない→ないなら自分で作ろう』ということになる。発想の違いは、娯楽情報がネットにないことへ違和感を感じるか感じないかだ。

地方創世には「よそ者、若者、ばか者」の3人がいなけらば変わらないという話があるが、劇的に何かを変える必要があるならば彼らの言葉に耳を傾けた方がいい。彼らの言葉には大きなヒントが隠されている。議論が起こるところに重要なポイントがあるのだ。




3. 宿泊できる図書館

雰囲気はアウェーだ。6月、朝日町図書館の一室で、図書館の宿泊イベントの初打ち合わせが始まった。

これは朝日町の図書館で宿泊できるという面白いイベント。

過去にも違う場所でこのような成功事例はすでに報告されており、この取り組み自体も特に奇を狙ってやっているものではない。このサイトも奇を狙ったわけではなく、過去に成功事例はたくさんあり安心してサイトを立ち上げることが出来た。ただ富山県に今までなかっただけで失敗する気はしなかった。

日本全体に言えることなのだが、富山県民は特に人と違うことを嫌うように感じる。それは人と違うことをすることで目立ちたくない、誰にも批判されずに生きたいということなのだろう。わたし自身はこのようなサイトを運営しているため、時おり批判はくるし、ファンたちはそんな炎で暖を取り全然助けてくれないし。

ただここでも「よそ者、若者、ばか者」は力を発揮する。

彼らは他人の批判よりも自分のやりたいことを優先する。もちろん他人のことも考えているがその比率が違うのだ。そして、また都会の話に戻って恐縮なのだが、東京や海外に住んでる人ってめちゃくちゃ変な人多いから。一度でいいから1年くらい住んでみてほしい。

一度、イベントを成功させてしまえばこっちのもので、それがスタンダートとなり図書館で宿泊できるなんて珍しくもなんともなくなる。一番重要なのは0から1を生み出すエネルギー、その火を消してはならない。




4. アサヒリノベエリア

坂東さんは「空き家の活用は民間や役場が情報を共有し、力を出し合って結果を出していきたい。みんなの力を貸してほしい」と呼びかけた。沈黙が流れる。「圧倒される。すんげーな・・・」と委員の善田洋一郎さんが口を開いた。

空き家は放っておくと倒壊などのトラブルになるが活用すれば定住する人が増える。マイナスをプラスに転じさせる可能性があるのだ。

坂東さんは朝日町に住む建築家で住民でもある。そんな彼がまちづくりの提言を役場の人と実現させるという面白い話。朝日町の構想を文面にまとめ、地図を作り、構想のネーミングはアサヒリノベエリアになった。役場だけでなく住民もまちづくりに貢献ができ、行動を起こすことができる良い事例である。

話は逸れるが、朝日町の役場にはイラストを書くことが出来る職員がいる。漫画用のパソコンソフトがあれば農林水産課の自席でも描け、かかる費用はソフト代の2万円程度、人材はいる。そうして、「朝日町まんがプロジェクトチーム」が発足した。

競争力の高い都会では埋もれてしまうような能力でも、地方では第一線で活躍することが出来る。消費するだけの生活から何かを創造するという視点を見つけるだけで、人生は大きく変わってくるだろう。

You tuber、ゲーム実況者、ドローン操縦士など有り余る新しい職業は朝日町どころか富山県でも独占できるだろう。




5. まとめ

挑戦は失敗するかもしれないが、前向きに行動しなければ何も生まれない。それが、朝日町役場で学んだことだ。有識者の団体が付けた「消滅可能性都市」という言葉は、推計を基にした分類でしかない。未来を切り開こうとする人たちが地域にいる限り、消滅なんてしない。

現実的には、企業を誘致するなどの取り組みが有効的だろう。実際に、朝日町にはアムノスというベンチャー企業が工場を建てる予定だ。世界を目指す工場の進出は町が変わる第一歩となる。

人口減少の話について、首都大学の山下准教授は人口減少問題は心理戦と表現する。消滅論のショックが強すぎれば不安や恐怖をあおり、人口が流出してしまうし人もやってこない。実際に地方紙と連携してポジティブに集落を取り上げた結果、人口が増えた例もある。

わたしも人口減には心理的な要因が関わっていると感じる。例えば、面白い人がいる町には必ず人はやってくるだろうし、そのような町に住みたいとわたしは思う。最近ではインターネットさえ繋がっていればお金も稼ぐことができるし、将来的に仕事のために地方にやってくる人から面白いことを求めてやってくる人にシフトしていくだろう。2020年には小学校ではプログラミングが必須科目になるし、2040年には今ある仕事の70%はなくなり、新しい仕事が生み出されるという研究データもある。

南砺市のP.A.WORKSが良い例であるが、地方にいても東京の仕事はできるし、ITに強い人は今後ますます活躍していくだろう。車は自動運転になりトヨタは衰退していく、2030年には最大で79万人ものIT技術者不足となる。そんなはずはないと思う人がいるだろうが、これはもう予想でも何でもなくわかりきった未来である。そのわかりきった未来をいかに受け入れて行動していくものが勝ち残っていく。地球の弱肉強食の世界で生き残るのは強い生き物ではなく、柔軟に環境に対応できた生き物だ。

今頑張ることで将来の人口は大きく変わってくる。

わたしにできることはその面白い取り組みを拡散するくらいだが、今後も日本の最先端である朝日町の取り組みに注目です。

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